紙は私たちの生活にとって、なくてはならないものです。
その用途はとても幅広く、書籍やノート、コピー用紙、そしてティッシュペーパー、トイレットペーパー、
さらには包装用紙、紙箱、ダンボール箱といったように、さまざまな場面で文化や社会を支えています。
近年では、その利用範囲はますます広がっています。
その一方で、紙の原料にはかぎりがあります。木材を得るには、森林を伐採するしかありません。
この大切な資源を未来にわたって残していくためには、現在得られる紙をできるかぎり有効利用していかなければいけないのです。
そこで、ますます重要度が高まっているのが古紙のリサイクルです。
紙は、とても再生に向いている素材です。この性質を活かし、紙をゴミとして処分してしまうのではなく、なるべく再利用に回さなければいけません。
そのためには、さらなるテクノロジーの発展と、それにも増して私たちの協力的な態度が必要となっていくでしょう。
日本で古紙のリサイクルが始まったのは古く、すでに1950年代から板紙などに用いられてきました。
1980年代からはさらに技術が発展して、通常の紙としても用いられるようになっていきます。
その利用率はエコロジーへの意識が高まったことで、年々高まっていきます。
製紙業界では、1990年に「1994年までの古紙利用率を55%にする」という達成目標をかかげました。
その後も、達成するたびに新たに高い数値を挙げていき、直近では、2011年の「2015年までに古紙利用率を64%にする」という達成目標を実現しています。
このような業界の努力もあり、1980年には回収率が46.3%、利用率が41.5だったのが、1990年には回収率49.7%、利用率51.5%に。さらに、2000年には回収率57.7%、利用率57.0へ、
そして2010年には回収率78.2%、利用率62.5%まで伸ばしています。
最新の2015年のデータでは、回収率79.2%、利用率64.8%といずれも過去最高の割合を記録しています。
これは、世界の総計である回収率58.6%、利用率58.9%とくらべても、とても高い割合となっていることが分かります。
製紙業界では最新の目標として、2016年に「2020年までの古紙利用率を65%にするという目標をかかげています。
たった1%上昇させるだけなら簡単そうだと思うかもしれませんが、先ほども述べたように、すでに日本の古紙利用率は世界でもトップクラスの割合となっています。
こからさらに1%上昇させるためには、これまで以上の努力が必要となってきます。製紙業界だけではなく、私たち一人ひとりの意識もとても重要になっていくでしょう。
2020年は、東京オリンピックも開催され、国際的な注目が高まる年でもあります。
今から目標達成に向けて、普段の生活から紙のリサイクル活動に協力していきたいものです。