日本では56年ぶりとなる夏季オリンピックの開催が、いよいよ数年後まで迫ってきています。
そこであらためて注目されているのが、リサイクル活動への取り組みです。
2012年のロンドン・オリンピックでは、大会を持続可能なイベントと位置づけて、さまざまなリサイクル活動が行われていきました。
その目標として、「解体廃棄物の90%を回収、再利用」、「建設資材の20%にリサイクル資材を使用」、
「建設資材の90%を埋め立てずに処分」、「開催中の廃棄物の70%をリサイクル、堆肥化」といったものが挙げられました。
なかでも、廃材については98%を再利用という高い数値を達成しています。
この理念は、次のリオデジャネイロ・オリンピックにも受け継がれ、
その一環として、メダルに多くのリサイクル材料が用いられたことが話題となりました。
金メダルに使用する金は水銀を用いずに精錬し、銀メダルと銅メダルにも30%のリサイクル材料が使われています。
また、リボンにも50%にペットボトルを再利用した素材、ケースには持続可能性を認められた森林の木材が用いられています。
前2大会と同様に、東京オリンピックでも、やはり持続可能性の導入は大きな目標としてかかげられています。
その実現のために、今大会のメダルは、スマートフォンやタブレットなどの小型電子機器から回収した貴金属を用いることが決められました。
しかも、その素材はすべてリサイクル材料だけで補うことを目ざしています。
これは、歴代の大会でも史上初となる試みです。
もともと、これらの資源にとぼしい日本では、電子機器からのリサイクルはとても重要なものと位置づけられています。
しかし、古紙やプラスチックのリサイクルでは世界有数の回収率を誇る日本でも、まだその割合はとても低いものとなっています。
年間に廃棄される65万トンもの電子機器や家電のうち、わずか10万トン程度しかリサイクル用には回収されていません。
一方、オリンピックのメダルは、年々その数と大きさが増えていく傾向にあります。
リオデジャネイロ・オリンピックでは、過去最大の500グラムのメダルが、合計5130個も作られました。東京オリンピックでも、
これに匹敵するほどのメダルの製造が予定されています。
これを100%リサイクル材料で作るには、すべて合わせて8トン前後の貴金属が必要となります。
スマートフォンだけでも、何百万台も必要になる数量です。
そこで日本オリンピック委員会では、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を立ち上げて、
全国でスマートフォンやパソコン、デジタルカメラなどの回収を呼びかけています。
2017年4月からは、そのための回収ボックスが全国各地の自治体などに設置されています。
このような取り組みは、世界や未来への大きなメッセージにもなります。持続可能性な社会の実現のためにも、ぜひ協力していきたいものです。